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星新一の『信念』は、全員が模範とすべきあり方

星新一の『妄想銀行』に収録されている『信念』を読んだ。

ネタバレになるが、感動したので記しておく。

ざっくりとあらすじを書くと、こんな感じだろうか。

「世の中でうまくいっているやつは全員が悪だ」と悟った青年が、就職した会社の金を横領しようと企てる。金庫番を任されたはいいが、もっと大きな額を任されるようになるためには社内での信頼が必要だと思い、ときには我が身を犠牲にしてまで社の金を守ったりする。最終的に幹部まで上り詰める。「悪の遂行」という信念が、会社にとって模範的な社員を作り上げたという、良い意味での本末転倒な話だ。

いかにも星新一らしい話だが、これは「仕事を自分ごととして捉える」という姿勢を持つことの重要性を教えてくれている。会社のため、命令だから、というモチベーションだと仕事はやり遂げられない。最後に得するのは自分だ、と心から思えていれば、どんなことにでも耐えられるのかもしれない。

これに合わせて、『自分株式会社』の考え方(これは、自分で思いついたと思っていたが、motoさんという人がすでに提唱していた)を持って働いていれば、嫌な上司も取引先と思えるようになり、小言を言われても軽く受け流せるようになるし、やりたくない仕事を押し付けられても、モチベーションが下がりにくい。

もちろん、信念が「横領」であってはマズいが、「転職や独立するときに使える材料探し」や、「技術の習得」などの目標を掲げていれば、ある程度のことは我慢できるかもしれない。